「楽天市場とAmazon、どちらもレビューが売上に直結するのは分かるけれど、実際どう違うの?」そう感じている方も多いのではないでしょうか。
実際、どちらのモールでもレビューを増やすのは決して簡単ではありません。
私は現在、楽天市場とAmazonの両方で現役運営を続けており、これまでに楽天市場だけでも累計72,000件以上のレビューを獲得してきました。
その経験から断言できるのは、レビュー施策は今も有効であり、ただし楽天とAmazonでは“やり方”が根本的に違うということです。
Amazonはレビュー施策の自由度がほとんどなく、基本的には「販売数を積む」か「公式プログラムに頼る」しかありません。一方、楽天市場はガイドラインを守れば施策の余地が大きく、プレゼント施策などを戦略的に組み込むことが可能です。
本記事では、私自身が両モールを運営する立場から、実体験とレビュー発送代行の現場感も交えながら、楽天市場とAmazonのレビュー施策の違いを徹底的に解説します。
読み終える頃には、「どちらでどう攻めるべきか」そして「楽天でまず取り組むべきこと」がきっと見えてくるはずです。
なぜレビュー施策が今も重要なのか
「レビューがなくても広告を打てば売れるでしょ?」そんな時代も確かにありました。しかし今のECでは、レビューがなければ広告をいくら投下しても成果につながらない時代です。
なぜならレビューは、単なる購入者の感想ではなく、検索順位・購入率・価格競争のすべてに影響する“店舗の資産”だからです。
具体的には次のような効果があります。
- 検索順位に影響する:レビュー数が多い商品は、自然検索で上位に表示されやすい。
- 転換率(購入率)を押し上げる:レビューは「安心材料」として働き、広告クリック後の購入率を大きく底上げする。
- 価格競争を回避できる:レビュー件数が多い商品は「選ばれてきた証拠」となり、多少高くても売れる。
逆に、レビューゼロの商品は、どれだけ広告を投下しても「候補から外れる」ケースが多いです。お客様は不安を感じ、「レビューが多い他の商品」を優先してしまうからです。
つまりレビューがなければ、広告コストを燃やしても成果につながらないのです。
レビュー件数順ソートがある楽天市場、ないAmazon
楽天市場とAmazonのレビュー文化を分ける最大の違いは、「レビュー件数順で商品を並び替えられるかどうか」です。
一見すると小さな機能差に思えるかもしれませんが、この違いがユーザーの購買行動を根本から変え、両モールの「レビュー文化」を大きく分けています。
実は、この「レビュー件数順ソート」の重要性については、一般的な解説記事ではあまり語られることがありません。私自身が楽天市場を運営してきた中で、数万件単位のレビューを積み上げる過程で強く実感してきた、いわば“現場ならではの気づき”といえます。
楽天市場では、レビュー件数が「これまで売れてきた証拠」として扱われ、件数が積み上がればそのまま検索順位や売上の安定性に直結します。
一方Amazonでは、レビュー件数の多さよりも「星の平均値」や「プライム対応・価格・配送スピード」が重視されます。レビュー件数は補助的な要素に留まり、楽天ほどの効果を発揮しません。
楽天市場では「レビュー件数=売れてきた証拠」
たとえば、楽天市場で「カニ」と検索してみましょう。

ご覧のとおり[PR]枠も含めて、数多くの商品が並びます。「カニ」は楽天市場でも最も激戦のキーワードの一つ。サムネイルの写真だけでは差が分かりづらく、ユーザーにとっては「どれを選んでいいか分からない」状況です。

そこで登場するのが「レビュー件数順ソート」。実はこの機能こそが、楽天市場におけるレビュー文化を決定づける大きな要因です。
実際に、私も楽天市場でお買い物をするときは、どんな商品でも、「レビュー件数順ソート」から商品を探しています。レビューが数千件、数万件と積み上がっている商品は「これだけ買われているなら安心」と感じられ、候補に残ります。
それでは、「カニ」をレビュー件数順に並べてみましょう。1位のレビュー数は「45,688件」、2位でも「24,184件」。これほどの数が積み上がっているのは、単なる偶然ではなく「継続的に選ばれてきた証拠」といえます。ちなみに、レビュー件数順に並べると、PR(広告)は出てきません。

ここで、注目すべき点は、レビュー件数順で並べた時に、1位と4位の商品がしっかりと「ランキング入り」していることです。継続的に売れていることの裏付けともいえます。
逆にレビュー数が少ない商品は、たとえ写真が美味しそうでも、ユーザーの選択肢から外されがちです。
つまり楽天市場では、レビュー件数そのものが「売上を左右する最大の武器」です。レビューが多い=売れてきた実績がある=安心して購入できる理由になる。このシンプルなロジックこそが、ユーザーの購買行動を動かしているのです。
Amazon:レビュー件数より「平均評価」が重視される
一方Amazonには、レビュー件数順のソート機能がありません。ユーザーが見るのは「星の平均値」と「プライム対応・価格・配送スピード」です。
もちろんレビュー数がゼロの商品は売れにくいですが、100件と1,000件の差が楽天ほど顕著に売上に直結することはありません。むしろ「★4.5か、★4.2か」といった微妙な平均点の違いが購買判断に大きな影響を与えます。
そのためAmazonのレビューは「アルゴリズムの一部」という位置づけで、件数を積み上げても楽天ほどの効果は得にくいのです。
レビュー件数順ソートが「広告費ゼロで1位」を生む資産
楽天市場における最大の特徴は「レビュー件数順ソート」です。この機能の有無が、楽天とAmazonのレビュー文化を根本から分けています。
- 楽天市場:レビュー件数を積み上げること自体が最大の武器。件数が資産となり、検索順位や購買行動の両面で効果を発揮する。
- Amazon:レビュー件数は重要だが、平均評価や配送条件と並ぶ一要素に過ぎず、件数だけで他商品に勝つのは難しい。
私自身の経験でも、多くの商品で、楽天でレビュー件数が500件を超えると売れ行きが安定し、1,000件を突破した時には「盤石な基盤」ができたと実感しました。
もちろん「カニ」のような超激戦ジャンルでは数万件のレビューが積み上がりますが、これはあくまで特殊な例です。日用品やインテリア、雑貨といったカテゴリでは、500件や1,000件でも十分に「強者ポジション」として機能します。
ジャンルにもよりますが、1,000件以上のレビューが積み上がると、多少ライバルが現れても売上が崩れにくくなるのです。レビュー件数そのものが「絶対的な安心材料」として効いてくるからです。
一方Amazonでは、レビュー件数が100件から1,000件に増えても、売上への影響は限定的です。むしろ広告運用やBuyBoxの獲得状況が大きく左右し、レビュー件数は補助的な役割に留まります。
実際に私自身も、Amazonではレビュー数が1,000件を超えても、強力な競合が価格を下げると一気に逆転されるケースを経験しました。「レビュー数=盤石な資産」とはならないのがAmazonの特徴です。
広告費ゼロで「検索順位1位」を実現できる仕組み
では楽天市場で、もしあなたの商品が2,000件以上のレビューを獲得し、検索結果の「レビュー件数順ソート」で最上位に表示されたらどうでしょうか。
それはつまり、広告費ゼロ円で「検索順位1位」を取っているのと同じことです。なぜなら、このレビュー件数順ソートではPR(広告)が表示されず、純粋にレビュー数だけで順位が決まるからです。しかもAmazonには、この仕組みが存在しません。
レビュー件数を追い抜かれない限り、そのポジションは長期的に安定し続けます。レビュー件数順で商品を探すユーザーがいる限り、売上も継続的に積み上がっていくのです。
まさに「レビューは資産である」という事実を、これほど端的に示す例はありません。レビュー件数を戦略的に積み上げることこそが、楽天市場で売上を安定させる最強の施策なのです。
施策自由度の違い|楽天市場は設計余地が大きい
楽天市場:レビュープレゼントが合法的に運用可能
楽天市場では、レビュー投稿に対して「感謝の気持ちとして特典を渡す」仕組みが公式に認められています。これは単なる“グレーゾーン”ではなく、規約上明確に許容されている点がポイントです。
たとえば以下のような施策は合法的に実施できます。
- レビューを書いた方に「後日別送でプレゼント」
- 同梱チラシで「レビュー投稿後にLINE連絡 → プレゼント送付」
- 「選べるプレゼント」形式で顧客満足度を高める
- レビュー投稿で「次回使えるクーポン」を配布
私の店舗でも最初は「レビュー投稿で次回使えるクーポン」を配布しました。
コストを抑えながらレビューを集められる点は魅力的でしたが、クーポンを実際に使うお客様は一部に限られ、思ったほどレビュー率は伸びませんでした。
次に試したのが「レビュープレゼントを1種類だけ用意する」方法です。
当初は一定の効果がありましたが、同じプレゼント商品が続くと顧客側に“新鮮味”がなくなり、レビュー率は頭打ちになってしまいました。
そこで最終的にたどり着いたのが「選べる9種類のレビュープレゼント」です。
顧客が自分の好みに合わせて特典を選べるようにしたことで、“レビューする楽しみ”が加わり、レビュー率は 15%以上 にまで上昇しました。
このように、クーポンや単品プレゼントを経て「選べる形式」に進化させた流れが、今の成果につながっています。この「自由設計の余地」こそが、楽天レビュー戦略の最大の武器なのです。
Amazon:インセンティブ施策は全面禁止
Amazonでは、レビュー獲得を目的としたインセンティブ施策は「一切禁止」されています。
「レビュー投稿でプレゼント」や「次回使えるクーポン配布」もすべて違反対象で、発覚すれば即アカウント停止につながります。
唯一の公式手段が「Vineプログラム」です。以下がVineの特徴となります。
- Amazonが選定したレビュアーに商品を無償提供する仕組み
- 登録費用はプランにより異なり、(2025年時点で)最大22,000円がかかる。
- 加えて、レビューを依頼する件数分の 商品を自ら提供(無償出荷) しなければならない
→ たとえば30件申し込めば、30個の商品をAmazonに納品する必要があり、その在庫は売上にならず「レビュー用コスト」として消化される - 申込は レビューと合わせて30件まで に制限されている
- しかも必ず30件すべてがレビュー化されるわけではなく、申し込んでも投稿されないケースがある
- レビュー内容は完全にレビュアーの自由で、出品者がコントロールすることはできない
このように、Vineは「新商品の立ち上げ初期」には一定の効果がありますが、在庫提供+費用負担の両面でハードルが高く、継続的にレビュー件数を積み上げる施策としては不十分 であることを理解しておく必要があります。
さらに、Amazonでレビュー施策が難しい理由は他にもあります。
規約が厳しすぎる(アカウント停止リスク)
外部レビュー代行の利用は規約違反に該当し得るため、アカウント停止の重大なリスクがある。
膨大な競合に埋もれやすい
商品点数が膨大で、レビューを稼いでも競合に埋もれやすく、価格や配送スピード重視の文化もありレビュー件数の訴求力は楽天に比べて弱い。
ユーザーと直接のコミュニケーションが取れない
お客様情報を直接取得できないため、レビュー依頼やお礼のフォローができず、施策余地が極めて小さい。
このように、Amazonは「規約の制約」「競合環境」「顧客接点の欠如」と三重苦を抱えており、レビュー施策を長期的に積み上げるのが極めて難しいプラットフォームです。
だからこそ「レビュー件数を積み上げる」戦略が楽天では報われる
Amazonでは、Vine以外の方法でレビューを意図的に増やすことは事実上不可能です。
一方、楽天市場では「規約を守ったレビュープレゼント」が公式に認められているため、レビュー件数を計画的に積み上げることができます。
特に楽天が優れているのは次の3点です。
- 規約面の自由度
クーポン型/選べるプレゼント型など、自社の工夫次第で仕組みを設計できる。 - コスト面の柔軟性
例えば定形郵便110円+軽量プレゼントで数百円以内に収められるなど、費用を店舗側でコントロールできる。 - 継続性と資産性
一度投稿されたレビューは長期的に商品ページに蓄積され、検索順位やクリック率、購入率にまで効果を及ぼす“資産”となる。
私自身も、「クーポン配布 → 単品プレゼント → 9種類から選べる形式」へと進化させたことで、レビュー率を15%以上に引き上げることができました。レビュー件数が積み上がるほど店舗の販売力が底上げされる実感があります。
つまり、楽天市場ではレビュー施策が「一過性の販促」ではなく、中長期的に効く投資 として報われるのです。
楽天市場でレビューを増やすステップ
本記事では「楽天とAmazonのレビュー施策の違い」を解説しました。実務でレビューを増やす方法は以下の2記事で詳しく紹介しています。
当店は商品レビュー約72,000件/ショップレビュー約35,000件に到達。投稿率0.8%→15〜25%へ改善し、レビューが“資産”として売上を押し上げた実例と7つの戦略を解説します。
【実践戦略編】レビュー戦略の全体像・KPI設計
【完全版】楽天レビューの増やし方|月商4299万を支えた実践戦略
初心者でも迷わない「7つのステップ」で、安全に・確実にレビューを増やす導線を構築。同梱チラシ/配布ルール/郵送コスト最適化まで具体的に解説します。
【実践ガイド編】ゼロから始める手順・実務ノウハウ
【レビュー数が15倍?】楽天のレビュープレゼントの始め方|初心者向けガイド
まとめ|どちらも大事、でも“攻め方”は違う
結論はシンプルです。Amazonは「平均評価」と運営要件(価格・配送)を磨く場所、楽天市場は「レビュー件数」を戦略的に積み上げて資産化できる場所。
Vineの費用・上限・在庫提供、さらに顧客接点の乏しさを考えると、Amazonで能動的に件数を伸ばす余地は限定的。一方の楽天はガイドラインを守れば、クーポンや選べるレビュープレゼントまで設計でき、レビュー件数を戦略的に積み上げることで売上の安定に直結します。
今日からの実行ポイント(3つ)
- 楽天で合法・低コストなレビュー導線を用意する(同梱・サンクスメール・LINEなど)
- レビュープレゼント商品は選べる形式を前提に、軽量で郵送しやすいものを設計。
- レビュー率と特典選択率をKPIに、毎月入れ替え・改善を回す。
具体的な設計と手順は本文末の「実践戦略編」「実践ガイド編」にまとめています。まずは1商品でレビュー率10%達成を目標に、導線設計と特典の最適化を試し、“件数が勝つ”楽天の土俵で勝ち筋を体感してください。